2008年11月18日
学力を育てる

学力を育てる (岩波新書 新赤版 (978))
公立学校の底力の著者の前作です。
「公立学校の底力」では、困難な家庭環境にある子どもの
学力を支えている様々な学校が紹介されていますが、
この本では、実際に子どもの学力低下が起こっているかどうかの
調査から始まり、
学力調査とともに、家庭環境の調査を行うことによって、
家庭環境が学力と強い関係があること、
それにもかかわらず、低学力層を支える力のある学校が
散見されることを明らかにしています。
また、プロローグで明らかにされる著者の自分史から、
著者がなぜ公立学校にこだわり続けるのかの
理解が深まりました。
著者自身が、「学校システムによって『引き上げられた』」
と感じているから、地域に根ざす公立学校にこだわり続けて
いるのでしょう。
阪神電車沿線に生まれ育った著者の小中学校生活、
そして、生まれて初めて阪急電車に乗ったときのとまどいなど、
自分の経験を最初に出すことにより、無味乾燥になりがちな
データ解析を生きたものにする手法は、うまいなと感じました。
2008年11月17日
ウェブ時代をゆく

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
を読んだ後、続けて読みました。
「ウェブ進化論」に書いてあったことは、ふむふむ〜という
知識の整理、という感じで読んだのですが、
「ウェブ時代をゆく」については、自分自身の職業人生、
そして、これから育ってゆく子ども2人の選ぶ人生を考えながら
読みました。
私自身は、今の職場で30代を過ごしたのですが、
著者が「組織や職場にこんな兆候があると危険」とする5つの兆候が
すべてあり、
「勤めれば勤めるだけ『組織の外で生きていく生命力』が衰えていく。
そのことに自覚的でならなければならない」
と言われて、まさに痛いところを突かれたな、、、と
感じたところです。
子ども2人のうち、1人は大きな組織への適応がよさそう、
1人はまあ、海のものとも山のものとも、、、という感じですが、
これからの社会でサバイバルできるだけの「自助の精神」を
持つ大人になってくれるでしょうか。
2008年11月16日
公立学校の底力

公立学校の底力 (ちくま新書 742)
朝日新聞の10月26日書評を見て購入。
あとがきにある、筆者の妻の評、
「これは転校した経験がないひとだから書けた文章ね。」を読んで、
ああ、これが夫と私の違いなのだ、と初めて気づきました。
公立学校に逆風が吹く中、
「しんどい層の基礎学力の下支えに成功している学校」を
数多く紹介し、その学校が成り立つ条件を探っている本です。
すばらしい話にもかかわらず、どこか入り込めない自分に
とまどっていたのですが、
幼稚園の時、転居をし、言葉の違いから小学校でいじめられ、
この場所から出ていくことだけを考えていた私には、
小学校時代を満喫し、今も当時の自宅のすぐ近くに住む夫と、
筆者とが重なっていたのでしょう。
「教育は買ったり、選んだりするものではなく、一緒に
つくっていくものだと思う」という、筆者の言葉に
共感しないわけではないのですが、
一緒につくっていく、地域のひとたちがどんどん高齢化
していっているという地元の状況を考えると、
小学校を中心としたコミュニティが、今後も維持できるのか
不安を感じています。